トラックドライバーikuzoのやっちまった話

やっちまった話 トラック

こんにちは、トラックドライバーのikuzo(いくぞう)です。

トラックドライバーになって、もうすぐ25年。これまで数々の出来事がありました。

今回はずっと書こうかどうしようか迷っていた話を、ついに書くことにしました。

とりあえず、お食事中の方は時間をあらためてお読みいただければと思います。

 

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おだやかな冬晴れの朝に

それは、ある年の12月の話です。

穏やかな冬晴れの朝、私は大型トラックに乗って、横浜から東京の福生ふっさへ荷物を積みに向かっていました。

朝の通勤ラッシュ時で道は混んでいましたが、急ぐ仕事でもなかったので、缶コーヒーを飲みながらゆったりとした気分でトラックを走らせていました。

「もうすぐ今年も終わりか…」

ちょうど小田急線のとある駅に近づいた時でしょうか、お腹から「大きいほう」の信号が送られてきたのです。

「ここでか」

片側一車線の狭い道はノロノロ進んでます。大型トラックが駐車できるような道ではありません。

「まぁいいや。ここから20分も走れば家だから、ちょっと用を足しに戻ろう。それまでもつだろう。」

と、この時はまだ呑気のんきにかまえていました。

運命の分かれ道

しかし、この日はいつもと様子が違いました。ほんの2、3分のうちにみるみる状況が悪化したのです。

「これは家まで無理か?いや、この狭い道で大型トラックを駐車できるわけがないし…」

そんなことを考えながら走っていると前方に牛丼の吉野家が見えてきました。

「そうだ、あの吉野家、たしか大型一台くらいなら駐車できるスペースがあったはず」

渋滞の中、どんどん痛くなるお腹を我慢しつつ、体を前後にゆすりながら吉野家をめざします。

ところが吉野家が近くなった辺りで、ウソのように痛みがおさまったのです。

「なんだ、これなら吉野家よらなくても、家まで平気そうじゃん」

さっきまでの苦しみを忘れたikuzoは、あり得ないことに吉野家をスルーしたのです。

 

しかし、吉野家を通過してまもなく、再び腹痛が襲ってきました。しかも先ほどよりかなり強力です。

「馬鹿だ、俺は…」

この時、家までは約15分の距離でした。

家まで行かなくても10分走れば広い道に出るので、この時は「最悪、そこで草むらに隠れて」などと考えていました。

足の裏の毛穴が開く

それにしても、この腹痛はいったい何なのか?

「あっ、あれか!妻がおととい買ってきた、見たこともない韓国産のキムチ!」

よく考えると、おとといもそのキムチを食べて、昨日の朝もお腹をこわしていました。

しかし、昨日の朝はたまたまトイレのそばにいたので、特に「何が悪かったか」までは考えていなかったのです。

「昨日うちに原因を究明していれば、こんなことには…」

ひたいから変な汗を流しながら悔やみます。

そしてついには「足の裏の毛穴」まで開きだしました。

もはや、体全体が危険な状態に陥ってるわけです。

「た、たのむ…進んでくれ…」

渋滞の中、信号があざ笑うかのように赤に変わり、青になるまでの時間がやたらと長く感じます。

その間も少しでも楽になる体勢を見つけようと、体をよじったり上半身の角度を変えて様々なポーズをとってみますが、どれも効果はありません。

「ぬおおおおぉ…」

乗用車や小さいトラックなら適当なところにとめて、どうにかなるのでしょうが、これが大型トラックのつらいところです。

「波がくる」と「おさまる」を繰り返すも、その波はどんどん巨大化し、ついには限界を超えようとしていました。

究極の右折

次の信号さえ右に曲がれば、道路が二車線になり大型車でも一時的にとめられるところまで来ました。

右折車が多く、それが渋滞の原因になっている交差点です。

「右に曲がりさえすれば、あとは草むらに隠れてでも…」

その交差点がだんだん近づいてきます。

「よ、よし、これでどうにかなる!」

しかし、運命は非情でした。交差点を曲がろうとしたまさにその時です。ここまで耐えてきた尻が、なんと勝手に動き始めたのです。

「え!え!えええ?」

これまで脳の指令を一度も裏切ったことがなかったのに、幾度も困難を一緒に乗り越えてきたのに…。

その時、人間の無条件反射だと思いますが、無意識のうちに腰が椅子から浮いたのです。

座ったままだと、パンツからハミ出して「被害が広がる」と体が判断したのでしょう。

もりもりもりもりー

あろうことに、それは交差点を右折しながらでした。

想像してみて下さい。

腰を浮かせたままハンドルを切り、アクセルとクラッチ操作するのって難しいです。

しかも他にもうひとつ、別のことをしてますから。

さよなら、円座クッション

放心状態のまま路肩にトラックをとめ、カーテンを閉めて被害の確認、および復旧作業に入ります。

こんな時、大きいトラックはカーテンがあるので便利です。

お腹は平穏を取り戻し、そして着替えが一式あったのはラッキーでした。

まずは甚大な被害が予想される…、いや確実な「パンツ」から検証です。

…見るも無惨です。

次に「ズボン」ですが、これまた復旧は「困難を極める」ため廃棄することにしました。

そしてお気に入りだった「円座クッション」ですが、一見被害がないようにも見えましたが、よく見ると一部被害があったため、惜しまれつつ「パンツ」と「ズボン」と共にこの世を去りました。

さよなら、俺の円座クッション。今までありがとう。

トラックの足元にあるマットだけはゴム製だったので、あとで念入りに洗浄しました。

被害一覧

パンツ・・・1000円
ズボン・・・会社支給なので不明(3000円くらいか)
円座クッション・・・1000円
タオル2~3枚・・・500円
心の傷・・・お金では買えない

腰を浮かせたのが功を奏したようで、被害は甚大ながらも範囲は予想よりも少なくて済みました。

パンツが期待以上の活躍をみせ、一人で大部分を受け止めてくれたのです。

そのあと誰もいない家で、ひとりシャワーを浴びるikuzoでした。

よく晴れた冬の朝の出来事でした。

(おわり)

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